今日書く内容は、

宅建予備校が示す合格実績や合格率などの数字に惑わされないほうがいい。

宅建予備校を選ぶなら、講義と教材の質を見極めてからじゃないとダメ。

ということです。

今日もちょっとヤバい気がしますが…。

1.　予備校の合格実績には虚偽や紛らわしい表示が結構ある。

さて、宅建予備校に限らず、予備校の合格実績というのは、広告上、集客にそれなりの効果を発揮するので、各予備校いろいろと謳っております。

しかし、これが「虚偽だった」ということがバレてしまったり、消費者に誤認を与えそうな表示をしていることがわかり、公正取引委員会から措置命令を受けたり警告を受けたりする予備校があったりします。

大学受験系の予備校でも、完全な合格実績水増しで措置命令なんてのもありましたね。

ここで実名は挙げませんが、資格試験予備校でも結構な大手数社が警告を受けたなんてこともありました。

まあ、そこそこ大きいからこそ目をつけられるのであって、小さいところは事実上野放しっていう面もあるでしょうけれど。

まあ、はっきりとした嘘というのは、やっぱりバレるとまずいし、ライバルからチクられる可能性も否定できないので、なかなか出来ないもののように思うものの、実際にはゼロではないと思います。

一方で、誤解を受ける表現を確信犯的にする、ということは、はっきり言って日常茶飯事だと思います。

この辺は残念な話ですが、予備校、特に資格試験予備校業界については、まだまだなんというか洗練されていない業界なのかな、なんて思ってしまうのが正直なところではあります（生意気言ってすみません）。

2.　虚偽じゃなくても基準がバラバラ、注釈も極小。

さて、嘘じゃないとしても、自分たちの都合の良いように色々と勝手に条件を付ける、なんてことは普通のことです。

例えば、１次試験→２次試験→合格という試験があるとして、１次試験合格者数を大々的に出すなんてことは良くあります。

この場合は、小さく（注：一次合格者）とか書いてあるわけで、決して嘘ではないわけですが。

難関試験などでよくあるのは、短期講習や場合により無料の講座（イベントに近いもの）に参加した人まで自社の合格実績にしちゃうというパターン。

すごく難しい試験だと、何人合格したか、という数自体が価値になるんですね。

ただ、笑っちゃうのは、各予備校の合格者数を足すと全合格者数を優に超えちゃうという…。

で、宅建試験講座の合格率で言うと、まず、講座の申込者数（入学者数）を母数にはしないというパターン。

合格者数は変えられないので、母数をいかに少なくして計算上率をどれだけ高く見せられるかが勝負なわけです。

まあ、申込みだけして来なかった人まで母数にさせられちゃうのはイヤ！という予備校の気持ちもちょっとはわかります（ちょっとは）。

ですが、実際には何かと通いにくくて結局挫折するとか、講義がわからないから来なくなるとか、そういうこともあり得るわけで、そういことも含めて講座を選びたい消費者からすれば、講座に籍を置いた人は全て母数に入れて欲しいはずです。

しかしそれに反して、予備校の方は、講座の〇％以上に出席した人、とかいう条件をつけるわけですね。

さらに、模試で〇点以上だった人、とかの条件を加える場合もあります。

この辺までいくと、「なによ、その条件」ってなりそうではありますが、でも「こういう条件で」と注釈しているだけマシなのかも知れませんね。

嘘ではないですから。

ただ、正式な募集パンフレットには「小さな」注釈が「ちゃんと」入っているけれど、ラフな媒体、例えばブログとかツイッターとかそういう類のものだと、そういう注釈はなかったりというのは、ちょっとマズい気がしますけれども。

まあ、この辺は、見る側も「合格率〇％！」というのに安易に反応してしまうからという面があるのは確かなんですが、それを言っちゃあオシマイです。

誤認する消費者が悪いのではなく、誤認させる側が悪いんですから。

3.　そもそも確かめようがないし。

「自分は注意深いので、デカデカ書かれた数字だけじゃなくて、その前提条件とかもちゃんと確かめますよ。」

そういう人もいるかも知れないですね（いないか…）。

しかし、その根拠を確かめる術はありますか？

「本当にそれだけの人数が合格しているかどうか、名簿を見せてください。」と言って見せてくれる予備校はありません。

もちろん、個人情報の問題もあります（別問題ですが）。

それがなくても、例えば合格率を計算するには、合格していない人の名簿も必要です。

そんなの見せられれわけありません。

じゃあ、誰かお上とか、公平な第三者機関とかがチェックしてくれているんですかね？

ないですよ。

明らかな嘘であっても滅多にばれることはなく、何年も嘘を繰り返していたらいつかバレて処分されちゃった、これが今までのパターンです。

まあ、今は嘘はあまり多くなく、前提条件部分を自分勝手に操作しているだけなのが主流だとは思うのですが…。

4.　そもそも予備校の合格実績の表示に関するルールが確立していない。

本来、予備校を選ぶときに、合格実績というのは有力な情報になるはずです。

少なくとも一般消費者の多くはそう思っています。

しかし、予備校に関しては、合格実績表記に関するルールが確立していないのです。

各種業界団体は景品表示法に基づく公正競争規約というのを作ってそれに違反すれば処分がある、ということになっていることが多いです。

宅建で学ぶ宅建業界もそうですよね。そこそこの細かいルールはある（違反も無茶苦茶多いですが…）。

でも、予備校に関してはこれがない。

私のつたない情報網によれば、関東地域の大手の資格受験予備校がこのルール作りに向かって話し合いを重ねているなんてことは聞いたことがあります。

でも、現時点で私の知る限りでは、公正取引協議会もないし、公正競争規約もない。

もちろん、あからさまな嘘がばれれば、公取から直接措置命令とかされちゃいますが、「明らかな嘘」以外の紛らわしい表記に関しては、結局事実上野放しです。

資格試験予備校業界は、上場会社から個人まであらゆるバリエーションが乱立する面白い業界だとは思うのですが、やはり洗練されていない面が強く、広告に関しては不安な面も多いよな、と思います。

資格試験予備校も商売ですから、有利な数字を出したいし、不利な情報は出したくないのが通常ですよね。

消費者に対するモラルの問題としてはともかく、あからさまな虚偽でないなら（小さい注釈いっぱいとか）許されるとなれば、一番自分たちに有利な出し方で情報を出すに決まっています。

それに、悩ましいのは、一部の予備校が正直でわかりやすい数字を出したとしても、他社が都合のよい数字の出し方でやりたい放題なら、まじめにやった方がバカを見ます。

（現状の条件の下で、まじめにやりつつ優位に立つには、非常に洗練された比較広告手法が必要な気がします。）

現場にバカ正直な人がいたって、そういう数字の出し方については経営者が見ていますから、そういう話になるのは当然。

一方で、個人経営の予備校とかそういうところなら、このアホらしい嘘っぱちの競争に嫌気がさして、「そういう数字はもう出しません」ということも出来るかも知れません（勇気がいるとは思いますが）。

しかし、そこそこの規模の企業ならそうはならないのが通常でしょう。

守らざるを得ないルールを確立してそれで縛らない限りは、消費者が予備校を選択するための基準になる数字は得られないのでは、と思います。

（尚、この辺の事情は、資格試験系の予備校と進学系予備校とは少し事情が異なるようです。この場では資格試験予備校についてだけ書いています。）

5.　宣伝文句に踊らされず冷静に予備校を選ぼう。

往々にして人間は、信じるべきものを信じるのではなく、信じたいものを信じます。

信じたいという気持ちがどこかにあると、簡単にだまされます。

ものすごく高い合格率を見ると、「お！おおおお！俺も受講すれば自動的に合格じゃん！」みたいに思えるかも知れません。

そんなわけないです（笑）。

ただし、「合格率を高く出している予備校は皆嘘つきで信用できないから受講すべきではない」という訳でもないのが難しいところ。

一概には言えません。

じゃあ、合格率が高くても低くても出していなくても、選びようがないじゃん。

そう、その通り。

個人教授、家庭教師でもない限り、予備校の力だけで合格するなんてことはあり得ないと私は思っていますが、モチベーションを維持させてくれたり、うまく理解して暗記するきっかけを与えてくれたり、ペースメーカーになってくれたりと、各人によって予備校を利用するメリットは様々です。

ですから、予備校利用を決して否定はしないのですが、大事なことは中身で見極めること。

まずは、実際に講義を担当する講師の力量と自分との相性。

これは、実際に講義を担当する講師の授業を体験する以外に確かめる方法はありません。

体験受講をしたら、まずはわかりやすさ。

わかりやすさ。ただし、わかりやすさというのも難しくて、簡単なことを簡単に説明すれば「わかった！」と感じるので良い授業に思えますが、必要なことが全然足りていない、ということもあり得ます。

ですから、これは、該当部分の教材（テキスト）に書かれていることを十分に理解できたかどうか、テキストと見比べることが重要です。

あとは、自分との相性で、これは何とも言い難いのですが、毎回この人の講義を聞いてやる気を維持できるのか、ということは意外と重要です。

次に、教材。

せっかく予備校に通うのですから、「これをやっつければ合格する！」という教材が欲しいですよね。

私もいつかこういう教材を作ってみたいとも思いますが（笑）。

いずれにしても、指導方針としてこの教材に情報が集約されている（されていく）ということが明確にされていること、そういう物（ブツ）が用意されていることが重要だと思います。

つまんない結論ですみません。なお、お勧めの予備校をここに書くつもりはありませんのでご了承ください。

予備校の選び方については、

ブログ内リンク：　宅建合格のために予備校利用は必要か

でも書いていますのでよろしければどうぞ。

とはいえ、このブログは独学者向けに書いているつもりなのですが（苦笑）。

あ、本文に何か間違いがあったらご指摘ください。

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