1.　模試を受験することは必須か？

各予備校などで、宅建試験の公開模擬試験が例年実施されています。

この模試を受験する動機は、主に次のようなものでしょう。

・　予想問題を入手したい。

・　本試験の雰囲気に慣れておきたい。

問題はこれらに価値があるかどうかです。

2.　予想問題にはほとんど意味はない

模試も、あるいは予想問題集のような類にも共通して言えるのですが、私はこういうものにあまり価値はおいていません。というよりも有害ですらある場合がある、と考えています。

予想問題は、各予備校が作成した新作問題です。よく「本試験を予想」などと謳ってありますが、もちろん予想して出題しているのでしょう。そして、実際に予想したような問題が本試験で多く出題されます。

しかし、それは当然のことです。

なぜなら、宅建試験本試験で出題される問題のほとんどは、過去に出題された問題が形を変えて出題されている問題ばかりだからです。

言うなれば、予想が的中するのは、語弊を恐れずに言えば、過去問題を素材にすれば当然であり、もっと言えば、一番信頼性のある予想問題集は過去問題集だと言えます。

もちろん、各予備校ともに模試に出題する問題は、社内で精査して出題していることでしょう。が、宅建試験本試験において試験委員が精査し難易度や出題文の表現、矛盾の無さ等を精査しているレベルと比べるとどうしても質は落ちてしまいます。たまに、ちょっと首をひねるような問題が出される場合もあるのですが、それは仕方ないことなのかも知れません。

こういった問題に惑わされる必要はない、というのが私の意見です。

もちろん、統計等最新の数値が必要な問題については、ほんの少し予想は意味があるかも知れません。しかし、統計数値についての予想は、こういった模試ではなく、別途準備しておくべき知識です。

3.　時間配分とマークシート記入に慣れるぐらいの意味はある

模擬試験受験に意味があるとすれば、時間配分とマークシート記入でしょう。

宅建試験はあまり時間が足りなくなく類の試験ではないのですが、それでも慎重になり過ぎて時間が足りなくなるということは想像できなくもありません。

どれくらいのペースで問題を解いていけば良いのか、最後に見直しをする時間を含めてだいたいのペースを身体で感じることはある程度有益かも知れません。

また、マークシート記入についても、慣れていないと少し手間取る人がいるかも知れません。

ちなみに、マークシートの記入の仕方については、人によって大きく違いがあり、１問解くごとにマークする人、５問ごとにマークする人、５０問全部解いてからマークする人など様々です。

私としては、あまりまとめてマークすることはお勧めしません。マークする時間も含めて１問何分使えるか、ということで考えておくことが最もセーフティだと思いますので、１問ずつか、多くても５問ぐらい解いたらマークするというやり方が良いと思います。

また、どの科目から解いていくか、ということもあります。

本試験では、冒頭に権利関係分野の問題が出題されますが、比較的難問である権利関係を後にまわし、宅建業法から解く受験生も少なくないようです。難問であったり得意でない分野で悩んだり迷ったりして時間が足りなくなってしまうリスクを避ける意味からだと思います。

これについては、各自の考え方によると思いますので、お勧めの順序などはないのですが、自分にあった順序を把握するために本試験形式の問題を制限時間内に解く意味はあるかも知れません。ただ、この自分に合ったやり方を見つけるためであれば、模試は複数回受験することになりますが…。

4.　受けても良いが予想問題としては期待しない。

というわけで、結論としては、

時間配分、マークシートに慣れるために模試を受験することは、意味がないわけではない。

ただし、予想問題として期待して受験する意味はほとんどない。

というのが私の意見です。

そしてもっとも重要なポイントが１つ。

受験するとしても模擬試験の結果に一喜一憂しないこと、です。

上に述べたように、模擬試験の問題は微妙です。

それで合格ラインだったとしても不合格になる可能性はある一方、そこでまったくボーダーに達していないという判定が出ても、本試験で合格する可能性は十分あります。

私自身は、時間的な余裕もなく、１日仕事で模擬試験を受験にいくぐらいなら、籠って勉強した方が良いと考えていたので、模試は受験しませんでしたが、模擬試験問題集を買って本試験直前１週間前に１回分だけ時間を計ってやりました。

結果は惨憺たるものでしたが、本試験ではボーダーに対して余裕をもって合格できました。

模擬試験は本当に、時間配分とマークシートのため、と割り切って利用するのが良いのではないでしょうか。

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